サタデーナイト・ライブ ジャパン 今田耕司さん The Japan Timesによるインタヴュー

昨日SNLジャパンの第二回目の放送に先駆けて、The Japan Timesが、今田耕司さんにインタヴューをしていました。
ちょっと長いので、端折ってご紹介。原文は英語です。今田さんのインタヴュー部分は、わたしが今田さんの口調を思い出しながら翻訳しています。今田さんがこの通りに話したわけではないので、翻訳の間違い等にお気づきになった場合は、すぐに教えてくださいな。(日本語→英語→日本語なので、google翻訳遊びをマニュアルでやってる感じです、すみません・・・)

By EDAN CORKILL staff writer
「最初に日本でSNLをやりたいと聞いた時の僕のリアクションは、『上手くいくんかいな?』でした。日本には、お客さんが入ってて、司会がステージにいて、というイブニング・ショー・スタイルの番組の伝統はありませんから」と今田さん。

それでも、アメリカの本家SNLには愛着があったようだ。「随分前に見てたんですよ。エディー・マーフィーとかが出てた頃のだと思います」こういう今田は、今年で45歳だ*1。「コントをやったり、たまに街に出ていって、ギャグやったりしてるのを見て、ずっと日本のテレビに影響与えてきてたんだなあって実感しました」

この後、今田さんはインタヴュアーに、日本では収録型のコント番組や、トーク番組は多くても、生放送のコント番組は現在ほとんどない事を説明。

「生放送のコントだと、他にも何人も共演者がいますから、もし誰かがトチったら助けなきゃ、という緊張感が走るんです」と言う。
(中略)
番組が終わってみれば、コントはどれも無事に終了していた(生放送だと気がつかなかった視聴者もいたほどだ)。

「皆が来て言うんですよ。『あれ、ホンマに生でやってんの?』って」と今田が教えてくれた。「次回は、もうちょっと荒削りな所出した方がいいかもしれないと思ってるんです」

第二回は、ちょっと荒削りになりすぎてしまいました・・・。

本家SNLの売りである、時事ネタコントがなかった事について

Youtubeのビデオには「SNLの型にハメようとしすぎて、スベってるネタもあった」とコメントしている人もいた。
このコメントは、おそらく番組の最後の部分を指しているのだろう。コメディアンたちが、時事ネタについてニュース番組の形で爆笑を取る、SNLの人気コーナー「ウィークエンド・アップデート」を元にしたコントだ。

岡村がベテランのニュース解説員に扮し、「スーパークールビズ」について説明する。だが、「暑い」と言う度に、共演のアナウンサー(女優の夏菜)から、コップの水をかけられてしまう。

最終的には、なぜか観客も巻き込んだ、大掛かりな水鉄砲合戦になってしまった。

アメリカンジョークを取り入れようとして失敗したのだろう、と解釈した日本の視聴者も何人かいたようだが、本家を知っている視聴者たちは、もっと厳しい見方をしていた。政治的なネタや時事ネタを入れる機会だったのに、出来なかったのだと。

このあたりは、誤解してる方も多いと思うので、分かりやすい説明で助かります。下らないからダメなんじゃないんです。SNL本家もホントに下らないネタばっかりです。でも、もちっと時事ネタをタイミングよく取り込んでいて「よくぞ言ってくれた!」という機転や皮肉のセンスを愛しているわけで。クールビズ→水鉄砲には、何の批評精神も感じられません。ヘタに風刺して敵を作りたくないんだな、という八方美人的な精神だけは伝わってきました。

SNL JPNに、政治ネタがない事への今田さんからの説明

この反応について聞いたみたが、今田は悪びれていなかった。

「日本では、お笑いとニュースの関係が、欧米と全然違うんですよ。日本では、真面目なはずの夜のニュース番組で、時事ネタについて、笑える小ネタを入れたりしてるんです。みのもんたさんとか、宮根誠司さんみたいな人が」と指摘する。「だから、誰かが政治とお笑いのミックスをやろうと思ったら、それをやれる、ものすごいちゃんとしたやり方がすでにあるわけで」

だが、日本の芸人の多くは、政治で今起きている事に直接コメントするのは、少々あからさまで「安易」だと思っているのだと言う。

「日本の芸人さんたちは、独自のキャラクターや、独自の世界を創り出す方が好きなんですよ。それを現実の世界へのアンチテーゼにしてるんです。そうやって、現実を批評してるわけですね」と言う。

というわけで、ティナ・フェイサラ・ペイリンの日本版を期待している人は、今後もがっかりする事になりそうだ。

ただ、今のSNL JPNにはそれこそ「ごっつ」の「兄貴」や「ゴレンジャイ」のような独創性のあるキャラクターが登場しているわけでもないんですよね。これから登場してくれるのでしょうか。今のところは「監督と助手」「女優とマネージャー」などの古典的なキャラクターしか出てきていませんし、何の世相も写していません。

ピカルの定理メンバーについて

ここからは、今田さんへのインタヴューではなく、記事を書いている外国人記者の取材に基づく分析です。

(音楽パフォーマンスの他に)もう一つ視聴者をがっかりさせない点は、アンサンブルキャストの質だ。元々、吉本がSNLのフォーマットに惹かれたのは、こうした芸人たちに新しい活躍の場を与えたいと強く思っていたからだいう話もある。

漫才コンビ ピースの綾部と又吉、平成ノブシコブシの吉村と徳井、渡辺直美その他のキャストたちは、大物共演者を上手く引き立てるだけでなく、チームワークもいい。

この番組を制作しているフジテレビが、SNLが始まる前に8ヶ月の準備番組を与えたことも、このケミストリーの秘訣だろう。若手キャストたちは、昨年の10月から、自分たちの収録型コント番組「ピカルの定理」に出演していたのだ。

この番組は人気が出たため、SNLジャパンと同じ時間帯に昇格し、SNLがない週に放送されている。(ピカルのメインスポンサーは、SNLジャパンと同じコカ・コーラで、番組内で宣伝を兼ねたコントをやっているのも同じだ)

「ピースやノブコブを売り出したいので、SNLを使いたかった」説と、「SNLを成功させるために『ピカルの定理』を始めた」説が混在しているので、ピカルとSNLとどちらが先なのか、ちょっと分かりません。でも吉本が本家SNLを愛しているから権利を買ったわけではなく、特定の若手芸人数組を売り出したいがためにSNLを利用したというのは、よく分かりました。だから、SNLには不必要な要素が入りすぎているんですね(キャストが多すぎる、大物司会者二人は不要)。

SNL JPNの今後の展望

以下も、外国人記者の取材に基づく分析(と願望)です。

「ピカル」のコントには、あえて「外国人」キャラが出てくるものが多い。定番ネタの一つは、2008年にビヨンセのものまねでブレイクした渡辺が、綾部と「アメリカンスタイル」の口ゲンカをするコントだ。いつも些細な事から言い争いになり、顔を近づけてお互いを指差し合いながら「シャーダップ!」「ゲッダウト!」と叫び合って終わる。

渡辺は、第一回目のSNLジャパンでは、レイディー・ガガを演じており、今後の放送でも、こうした「外国人ものまね」シリーズが、深く根ざしていくに違いない。

こうすることで、SNLジャパンは、この番組にとって最高の結果を達成できるだろう。外国のオリジナルをそのまま真似るのではなく、有能な現地のタレントの新しい笑いの飼料として利用するのだ。

第二回にして早くも直美ちゃんの外国人芸コントはなくなってしまい、フジテレビの高視聴率ドラマ「マルモのおきて」のパロディでした。CMとのつなぎの「バンパー」では、直美ちゃんがガガの来日時をタイミングよくマネしたり、レギュラーメンバーが韓国のアイドルのマネをしていましたが、バンパーは本来ゲストの画像を使うものなので(Jujuやウエンツのファンが泣いて喜ぶようなカッコイイ画像を見せられる、美術さんの腕の見せどころ)、がんばってるだけに、余計に残念な結果に。

あまりインタヴューを受けている印象のない今田さんが、日本とアメリカの笑いの違いを分かっている上で、あえてSNL JPNではあの形にしているのだ、ということが分かる貴重なインタヴューだったと思います。でも正直に話してくれただけに、かえってもう今後この番組を見ることはないだろうな・・・というキモチを強くしてしまいました。肝心のコントで世相へのアンチテーゼには全くなっていないSNL JPNですが、折角若手に海外の面白い芸を見せる素晴らしい機会なのに、日本のお客さん(とスポンサー)だけにしか視線がいかない、この番組の内向きさこそが、最も世相を映し出しているのかもしれません。

*1:おそらくエディ時代をリアルタイムで見ているはず。今田さんの話しているエディのコントはWhite Like Me