M-1グランプリ2010

終わっちゃった。M-1終わってしまいました。
思っていたよりさみしいものです。
だって、来年のスリムクラブM-1決勝ネタが見られないから。

ええ、わたくし東京03ファンというのを割り引いても、島田紳助さんと意見が合う事は100万年に一回くらいしかないと思うのですが、今日はもう頷かずにいられないです。だって、銀シャリ見てても笑い飯見ててもピース見てても、ついついこう呟いてしまう。「スリムクラブが気になる!
番組全部見終わってからも、スリムクラブのネタだけ無限繰り返しで見てしまいました。優勝おめでとう!!
あ、優勝は笑い飯だった(こら)
パンクブーブーが2本目も同じネタだったのは、わざとだったのでしょうか。1本目も2本目も圧倒的に上手かったけど、同じネタを2本続けて(敗者復活見てた人から見れば3回続けて)やってしまっては。俗に言う八百長ってやつ?(こら!!) あれ?こんな時間に玄関のベルが鳴っ(ry

というわけで、わたくしの中での優勝はダントツでスリムクラブ、2位はダントツに技術が高い上に要所要所で猛毒を入れた上に構成でも新境地のあったナイツ、3位は2本目のネタ選び間違えたという意味で今年のステキなチンポジ野郎だったパンクブーブー笑い飯は・・・9年間がんばってくれてありがとう。おつかれさまでした!

きょうのお笑いスター☆誕生:スリムクラブ

いやあ、漫☆画太郎の絵の実写版人間なんて、森泉ちゃんだけだと思っていたんですが、いたんですね、さらに味わい深い実写版の方が!(←そこか!)ボケの人の顔だけでかなり出オチでした。脚がありえないほど長いというギャップも見れば見るほど笑えてきて。

聞いた事も見た事もなかったスリムクラブエンタの神様に出ていたんですね。もうちょっと見てればよかった。でもM-1最後の年に決勝ネタで初めて出会う、というのもいいではないですか。すっかり夢中でスキーになってしまいました。年末年始番組に急遽お声がかかるかな、かかるかな。出られるだけ目いっぱい出てほしいです!

何度もビデオ巻き戻して見てしまいました。台詞が少ないので、ほとんど覚えてしまうほどなのに、何度見返しても笑いすぎて、顔の筋肉が痛いほど。この感じは、東京03のKOC優勝の時と一緒。要するにこの二人、演技が上手いんですね。一見朴訥としているけれど。

まずツカミから持っていかれてしまう。ネタ中はずっとコンビで向き合っていてほとんど客席見ないのに、最初のツカミではお客さんに向かって話しかける(ただし不審者フィーリングMAXで)。そして最後のオチで唐突に再びお客さんに向き直り、あの不審者100%なツカミに戻ってきて、きちんと閉じる。あざやかでした。

ボケの数はめちゃくちゃ少ないけど、そのすべてがクリティカルヒット。ジャブじゃなくてドスンときました。サンキューなんとかさんたちがM-1を研究しすぎて、手数で勝負、みたいな作戦を伝授しまくっていましたが、そのせいなのかM-1は随分とつまらない大会になりつつあった気が。でも最後の最後にこんな形で打破してくれるコンビが出るとは! 特にツッコミは、我慢の限界耐久テストみたいな間合いの取り方。松ちゃんがコメントでホメていましたが、本当にあの間合いを持たせるのはすごい勇気ですよね。ボケとツッコミが無言で見つめ合っている間に観客がこらえきれずに爆笑してしまい、ついにツッコミが入ると、もう拍手喝采して更にドカンと受けてしまう。今ちゃんは笑いすぎて涙拭きながら見ていたし(相変わらず最高の司会者&最高の観客)。ゆっくりすぎる喋りでウケる、という意味で戦場カメラマンを彷彿とさせますが、スリムクラブの二人は必要な時にはちゃんと早口で喋るので、早口一辺倒のコンビと違って、ネタの中に緩急がつけられるのも強みに。

島田紳助松本人志をして「めちゃくちゃ面白いけど、果たしてこれは漫才なのか?」と頭抱えさせてしまっていましたが、「放射能」「ウズラ」「高い塔」「割と程度の高い専門学校」そしてダメ押しの「民主党」と、言葉チョイスの素晴らしさ(「南キャン山ちゃん的な凝り方ではなく、一見もっと自然に見える言葉選び)、迷走しているように見せておいてツカミとオチをきちんと一致させる構成の上手さ、そして何と言っも観客を引きずり込んで離さないブラックホールのような間合いの上手さ。どれをとっても話芸として実に上手い。だからこれはちゃんと漫才として成り立っていると思います。

ナイツ

いやー面白かったです。島田紳助師匠(好きになれなくても漫才では神レベルですもの)にも宮迫さんにも言われてましたが、ホントに上手い。「でもあんまりウケてへんかったけど」と言われてしまいましたが、少なくとも、だいこくさん家ではバカ受けでしたよ、理事! 
特にヤワラちゃんの「田村でもカネ、谷でもカネ、ママになってもカネ」のボケから土屋くんの「メチャクチャ がめついじゃないですか」のくだりと「学生向けの安い居酒屋」をかぶせてくるセンスがスカっと爽快(悪い笑顔)。イチローも単に偉業を称えるのではなく、泥臭いマグロ漁船に持ち込むあたり、毒の入れ方の塩梅に唸りました。我が家ではイチロー選手はヤワラちゃんと同じような理由で苦手なので余計に。

前半のボケを後半で振り返って更にボケた上に、ヤホー漫才にまで戻るという難しい構造を、サラっとこなしてしまう上手さに脱帽。ただ、塙理事がちょい緊張気味だったのか、ツカミで土屋君がまだ挨拶しているうちにネタに突入してしまったのが残念でした。ところどころで土屋君と喋りがカブっていたので、多分塙さんは想像以上に緊張していたのではないかと。緊張しててあの出来なのも凄いですが。銀シャリより下というのも、ピースより下というのもありえない。謎な点数でした。2本目見たかったです。残念。

ジャルジャルとピース

どちらもコントのイメージのコンビなので、決勝進出は意外でした。ジャルジャルジャルジャルらしい脱構築漫才でなるほど。漫才の中で漫才の構造について喧々諤々語ってしまう。でもそのあとの展開がちょっと足りないのと、肝心の漫才に慣れてないのでフワフワしていた&ヘタさが目について観客が漫才に入り込めないのが勿体ない。同じ脱構築漫才では、チュート徳井とフット後藤のドリームマッチ2010でのネタが傑作すぎたので、余計に気になりました。ひところのダウンタウンフォロワーを見た時の苦々しさと同じというか、ピカソキュビズム出来たのは普通に絵を描いてもバカテクだったから、というのと同じ感じで。

ピースの漫才はじめて見ましたが・・・おお普通に漫才やってる!カウス師匠のウケ方がパネェ。でも練習不足なのか、テンポ悪い。まったん、ツッコミ入ったら、もう1秒くらい呼吸置いてから次のボケ入ってくれないかな・・・とか色々考えてしまいました。綾部のキャラが全く生きていなかったのも残念です。まったんのキモキャラは生きていたけど、あんな無個性なツッコミだったら、誰がやっても一緒。綾部がやる必然性がない。なんだか勿体ないです。

ピースは好きだけど、あんな茶番の敗者復活戦やるくらいなら、ピースよりもパンクブーブーが決勝に入っているべきだった。何時間も寒空の下で待ってるお客さんの事を本当に考えたら、あんな出来レースの敗者復活はやれないはず。審査員の皆さんには、もう少し冒険してほしかったです。いや、ホントの事言えば、前年度チャンピオンには出場資格を与えない方が良かったんじゃないかなと思うんですが。去年のノンスタももう一度真剣勝負の漫才が見られて嬉しかったけど、勝負を面白くするという意味では、他のコンビに出演機会あげた方が良かったんだろうなと。

M-1ラストイヤーというだけで視聴者はある程度 担保できるのだから、「今年売れた新人」をわざわざ決勝に入れて視聴率の心配するよりも、もっと本当に面白い漫才するコンビを他にも紹介してほしかった。あ、そうすると笑い飯の優勝が危うくなっちゃうのか。あれ?こんな時間に誰か来た(ry

10年目の優勝者:笑い飯

M-1のラストイヤーに出場資格ラストイヤーの笑い飯が優勝。ようやくようやく。決勝の出来を純粋に見たら、一番ウケてたのはスリムクラブだと思いますが、9年間色々な意味でミスターM-1として盛り上げてきてくれた笑い飯なので、功労賞的な意味も含めての受賞なのですね。うーん、それでいいのかな。一番オモロい奴決める大会じゃなかったのかな。

だって勝負の残酷さもM-1の特徴だと思うのです。47都道府県漫才ツアーまでしてM-1に懸けていたラストイヤーのトータルテンボスが、敗者復活のサンドウィッチマンに負けたように。敗者復活で完全に観客を味方につけていたオードリーがノンスタイルに負けたように。去年の笑い飯鳥人で一番の爆笑を取っても2本目で失敗してパンクブーブーに負けたように。

だから松ちゃんの「笑い飯に最後とらしてやりたかった」は失言というか、松ちゃんてほんと素直な人なんだなあというか。西田も哲夫も、なかばもらえると分かって決勝を戦ってる感じがして。だからこそ、ここに来て決勝でスリムクラブに入れた島田紳助厳しさはさすがだなと思いました(番組を面白くしたい、という山師プロデューサー的発想もあったのかもしれませんが)。

ああでも、来年から、漫才を愛する新人芸人さんたちは、何を目指して頑張っていくのでしょう。まあこれだけ認知度の高くなったイベントなので、M-1も何か看板付け替えただけで、シレっと帰ってくると思っているのですが。
とりあえずは、年末年始にスリムクラブがどれだけ割り込んで出てきてくれるかに注目する、という楽しみが出来て嬉しいです。1本目ネタ終わりの今ちゃんとのやりとりで、ボケの人(前田さんかと思ったら真栄田さん)はフリートークも(スリムクラブなりに)イケる事が分かったので、オードリーよりはずっと安心して見られそうな予感。でも、どきどきどきどき。 ・・・ああ、まだM-1終わった気がしません。来年も普通にありそうな感じ。もっと劇的なクライマックスが欲しかったなあ・・・。やっぱり最後まで「おもてたんとちがうーーーーーーーーー!」の方が面白かったんじゃないかと(こら)。